こんにちは。鬼若(おにわか)役の伊藤奈々子です。
前回公演『バゲット・ネイション』では制作をやらせていただきました。
(最年少にも関わらず偉そうに振る舞う伊藤)
ではそんな新米スタッフが、なぜ役者を担当することになったのか。今回はそちらについてお話させていただこうと思います。
──2017年8月某日。
19歳の伊藤は学生会館で笑いこけておりました。ヤング・ブラザーズ第1回公演の脚本を読んでいたからです。
当時の私は戸部さんと直接の面識はありませんでしたが、(文章だけでこんなに面白いなんて、劇になったらどうなっちゃうんだろうなあ~)と思ったのをよく覚えています。
役者希望を出すか出すまいか。伊藤は悩みました。
こんなに面白い脚本なら出てみたいけど、自分は役者未経験。
先輩方の足を引っ張るかもしれぬ……云々かんぬん。自分の中でたくさんの御託が並びます。
けれど1番の要因は「恥ずかしいな」という気持ちでした。
私の考え方の癖として「人に良く思われたい」というのがあります。周りの人からはなるべく好かれたいし、情けない姿は見せたくない。恥ずかしい思いはしたくないぞ、という考え方です。しかし戸部さんの書く脚本はコメディ。カッコ悪かろうが、情けなかろうが、面白さのためには恥を捨てねばなりません。
さまざま踏まえた結果、旗揚げ公演には制作として参加させていただきました。
(制作の先輩と私服が似ていて、ちょっと嬉しい伊藤)
たくさんのお客様にご来場いただいたり、『バゲット・ネイション』という公演名のおかげかグルテンてんこ盛りの差し入れ(※)をいただいたりと、とても楽しい公演でした。
※シフォンケーキ・ワッフル・菓子パン・調理パンなどなど。会場が甘い香りに包まれることに。
(シラノ役 ももちさんからのパテも美味しくいただきました)
時は流れて2018年6月某日。
伊藤のもとに戸部さんの新たな脚本が届きました。変わらずパワフルで面白くて、電車の中で笑いをこらえながら読み終えました。
で、読み終えたらなんか「出てみてえ~!」と思ったんです。お下品な言葉遣いですね。
でも本当にそんな感じでした。恥ずかしいとか、緊張するだろうとか、どうでもよくなっちゃうくらい面白かったのです。
そして現在、私は稽古に励んでいます。
戸部さんの脚本は登場人物が魅力的です。情けない一面や、アクの強い一面があるのに、皆とても格好いい。
鬼若も例外ではありません。定期券と学生証を落として交番から電話がかかってくるような私ですから、役作りで苦労することもしばしばです。
それでも、めげずに頑張りたい。
去年の学生会館で感じたあの面白さを、今度は自分でモノにしてやろうと思います。
……なんだか真面目な話になってしまいました。
9/14~16 阿佐ヶ谷にあるART THEATERかもめ座にてお待ちしております。
観劇が初めてという方も、そうでない方も、肩の力を抜いてお越しください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
以上、鬼若(おにわか)役の伊藤奈々子でした。
また劇場でお会いしましょう。
一橋大学劇団コギトOBを中心に結成された演劇団体です。